メッセージ

カフェや居酒屋,ご飯処を探すときに,値段や料理,個室のあるなしは下調べをするけれど,それは自分を中心とした考え方であって,
テーブルや椅子,店内の雰囲気,店員さんの様子などなどが,お店の側がお客さんにどういうふうに楽しんでほしいか,というメッセージを発信していて,わたしたちは観察することでそのメッセージを読み取ることができるんだっていうことには思い至らなかったなあ.

まず観察。
このお店はだいたいどのくらいの時間、
お客様に楽しんでもらいたい店なんだろう、と思いながら、
お店の様子をにこやかにみる。
ひとつの椅子。
ひとつのテーブルに割りふられた家賃を
キチンと払えるように、
お店の人はそこでくつろいで欲しい時間と、
使ってほしい単価を想定しながらお店を作り、運営します。
お店の人がイメージしているお客様に、近ければ近いほど、

お店の人にとってはやさしくステキなお客様。
観察しながらヒントを探す。
主なヒントは価格と椅子の座り心地だったりします。

例えば500円でコーヒーを
売っているお店があったとしましょう。
肘掛がありゆったりとした座り心地のいい椅子がある。
そんなお店が、駅から遠くて目立たぬ場所にあるなら、
家賃が安いに違いなく、
だからユックリ時間をかけてたのしめばいい。
ところがそれが、駅前のいい場所にある。
昔からやってるお店で、
ショップカードをみればお店の名前のついたビルが住所。
なるほど、家賃を払わずやっている店。
だからゆっくりしても決して失礼にはならないんだろうと、
答えがでます。

新しいビルの中にあって、チェーン店のようにも見えない。
座り心地のよい椅子で、
なのにコーヒーが500円というようなお店にくると、
謎めいてきます。
これで家賃が払えるのかしら‥‥、
って思いながらメニューを見ると
魅力的なケーキが多彩に揃ってる。
そうか、ココはケーキのお供にコーヒーをたのしみ、
時間を豊かに過ごす店なんだなぁ‥‥、って、
ためしにお店の人を呼び、ケーキの説明を求めてみると、
にこやかに、うれしそうに、
情熱的にケーキのコトを教えてくれる。

一方、例えば背当てのない椅子。
それはだいたい50分。
そこで何時間も背筋を伸ばしてくつろげるという、
その身体能力の高さを時間したいのならば別だけど、
そういう店で長居をすると、
肘をついたり大抵見ていて見苦しくなる。
「この席はなるべく多くの人に座ってほしい客席」という、
お店のメッセージを受け損なうと、
イメージのよくないお客様に
なりさがってしまうこともあるのです。